高強度インターバルトレーニングによる神経体液性因子への影響
どうも。
田舎のPT、イナピーです。
今日は以前の記事の最後で紹介しかけて出来なかった、高強度インターバルトレーニング(HIIT)と神経体液性因子のお話です。
そもそも神経体液性因子って何?という方へ。
簡単に言うと、心臓の負荷や尿量の調整、血圧のコントロールなど、主に循環動態に大きな変化を起こさないための調整役を担ってるやつらを指します。
交感神経の働きやレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系などが代表例です。
中等強度の運動ではすでにこれらの因子において良好な結果を示した報告が多数存在しますが、負荷の高い運動様式では果たしてどのような影響を及ぼすのでしょうか。
Normandin Eらは、50-70歳の左室駆出率が低下した心不全患者(HFrEF:LVEF<40%)男女20名を対象に、「HIITの達成率」「運動時のacute cardiopulmonary response」を調査しています。
この研究の目的は、HIITの安全性を証明する事です。結果は以下の通り。
P:歩行の自立しているHFrEF患者20名において
I:HIIE群の自転車エルゴメーター運動は
C:MICE群と比べても
O:炎症値(CRP)、心不全(BNP)、心筋壊死(cTnT)に影響しない
血液データは運動終了20分後と24時間後に採血しています。
ややこしいプロトコルは以下の通り。
・High-intensity interval exercise(HIIE):2×8分間:合計22分間
warm up:peak power output(PPO)の50%で2分間
short bouts exercise:100%PPOで30秒間×8回=4分間
interspersed:passive recoveryで30秒間×6回=3分間
cool down:各ブロックの最後に25%PPOで1分間×2回=2分間
→上記を2ブロック実施し、ブロック間に4分間のpassive recoveryを設ける
*1ブロックあたり8分間となってます。なんかややこしい。。。笑
・moderate-intensity continuous exercise(MICE):
60%PPOで22分間とし、HIIEの総エネルギー消費量と同等
ただ、結果なんですが、お気づきの方はいるかもしれませんが、運動処方が今まで紹介していた「VO2」とか「HR」の相対強度ではなくて、「PPO」で処方している点。そこを考慮して解釈する必要があるかもしれません。ちょっと知識不足で申し訳ないですが、ペダルのwatt数で処方する際に、VO2 やHRの相対強度と相関があるとの報告はあるのでしょうか、、、
どなたか教えてください。(笑)
adverse eventとして、1例だけHIIE終了後翌日に脳梗塞を発症していました。
その後問題なく軽快していますが、コレを聞いてしまうと臨床応用は少し腰が引けてしまいますよね。
HIIEが直接的な関係があるか分かりませんが、処方する際には細心の注意が必要だとは思います。
ちなみにこの文献は、discussionのところにHIITプロトコルの重要な知見が沢山ちりばめられてて、宝探しみたいでめちゃくちゃ面白いです。
そして、HIITの生理学的側面に焦点を当てたstudyはまだ報告数が非常に少ないので、今回の文献はすごくありがたい存在だと思います。
今日はここまで。
HIITの話ばかりで飽きるかと思うので、次回は中等強度の運動処方についても
まとめていこうと思います。
読んでくださってありがとうございました。
ではでは。