高強度インターバルトレーニングの安全性①
どうも。
田舎のPT、イナピーです。
今日は前回ご紹介した高強度インターバルトレーニング(HIIT)の安全性に関する
報告をご紹介したいと思います。
高強度なんて聞くと、
「心疾患患者にHIITって、ほんとに適応可能な介入方法なの?」
という疑問があると思いますが、2012年にRognmo Φらが4,846人の冠動脈疾患患者(CHD)を対象に、HIIT介入と中等強度(MIAE)介入の両方を処方した際のイベント発生率について検証し、
P:CHD患者の訓練中の心血管イベント発生率は
I:HIIT介入の場合と
C:MIAE介入で比べると
O:175,820時間のうち、「HIIT:1例(non fatal)/23,182時間」
vs.
「MIAE:1例(fatal)/129,456時間」
と非常に低い(HIIT:1例、MIAE:2例、全3例)。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22879367
といった報告をしています。
この介入での運動強度は、前回ご紹介した85~95%HRpeakと60~70%HRpeak
2種類となっています。
左室駆出率(LVEF:Left Ventricular Ejection Fraction)の低下した心不全患者であるHFrEF患者(LVEF<40%)に対する心拍応答に関するEllingsen Φらの報告もあります。
P:HFrEF患者に対して
I:HIIT(4×4min model)を処方した際の心拍応答と左室リモデリングに関して検討したら
C:中等強度(MCT)運動と比べて
O: 両者とも心拍数は90%(88-92%)HRmaxであり、<95%HRmaxを満たす
LVDd(左室拡張末期径)の改善を認めたが、差はない
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28082387
この結果からは、低心機能の心不全患者に対してもHIITは左室リモデリングを
誘発することのない適応可能性を示しています。
HIITを適応した介入結果のsystematic reviewも報告がありますが、それはまたの機会に。。。
ちなみに、高強度の運動で悪影響がありそうな慢性腎臓病(CKD)を有する患者における
検討はまだありませんが、ラットを用いた介入研究ではMCTよりもHIITが有意に抗酸化作用や抗炎症作用に関するmRNAを増加させ、軽度CKDに対するHIITの腎保護作用を示唆しています。
と、ここまではHIITの良い面をご紹介しましたが、次回はnegativeな面の報告を
紹介したいと思います。
今日はここまで。
ありがとうございました。