田舎の理学療法士

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続・脳卒中患者の体幹機能評価⑥:座位 Index of postural Stability(IPS)

こんばんは。

最近は、寒くなってきましたねT-memoです。

脳卒中患者の体幹機能評価についてもう一つ紹介したいと思います。

 

今日は脳卒中患者の体幹機能評価の座位 Index of postural Stability(IPS) について紹介します。こちらは非常にユニークな方法の評価で、非常に感銘を受けた評価方法です。この座位IPSの測定には重心動揺計を必要とします。(なんで英語論文じゃないんだ!悔しい!)

 

 

脳卒中患者における座位Index of Postural Stabilityの信頼性と妥当性およびADLとの関連性 (総合リハビリテーション 46巻2号) | 医書.jp

 

 

聖マリアンナ医科大学病院の大畑らは、従来では立位の評価として使用されていたIPSを座位にて測定する方法を考案しました。IPSは文教大学の望月らが考案したユニークな評価で定量的な評価で広く知られています。座位IPSでは重心動揺計に座位で座り、正中と前後左右で10秒間重心同様を測定し、IPSを算出しました。

 

 

これらの結果に信頼性(級内相関係数ICC,最小化変量:MDC)・妥当性(Trunk Impairment ScaleとFIMとの相関)があるかを検討しております。

 

 

結果は検者内ICC (=0.95),検者間ICCは(=0.93)であり、MDCは0.30。座位IPSとTrunk Impairment ScaleとFIM運動項目の相関はそれぞれ正の相関関係にあり(rS=0.74,rS=0.70)、特にTrunk Impairment ScaleのDynamic Sitting Balanceとの相関が最も強かった(rS=0.74)と報告しています(大畑,2018)。

 

 

この評価方法のICCは非常によい数字であり、MDCも算出していることから臨床家にとってとてもありがたい評価と思います。また、妥当性の数字としても申し分なく、十分に臨床応用が可能な評価かと思います。

 

 

脳卒中患者さんの体幹機能評価では順序尺度の評価がとても多いことが問題となっていて、この論文の中でもそこのことに触れられています。

 

 

最近はWiiのバランスボードでもプログラミングすればちゃんと重心動揺が図れるので、汎用性の高い評価になるかと思います(もちろん、検証は必要ですが)。それにしても、発想次第でこういった評価を考案できるんだなと目から鱗であり、読んでいて非常にエキサイティングな論文でした。これ論文にするのにどれだけ労力を割いたのか…本当に尊敬します。

 

 

といったところで体幹機能の評価に関する記事は一度終了にしようと思います。他にもFugl-MeyerやMotor Assessment Scale、Functional Reach Testなどなどあります。どんな評価をアウトカムにして日々の臨床に取り組むか?ここはセラピストに委ねられているところではありますが、それぞれの評価特性を理解し、適切なアウトカムを設定して臨床に望んでいく必要があるかと思います。

 

といったところで今日はここまで。

また、次回もよろしくお願いいたします。

 

参考文献
  1. 脳卒中患者における座位Index of Postural Stabilityの信頼性と妥当性およびADLとの関連性 (総合リハビリテーション 46巻2号) | 医書.jp