サクッと紹介! 運動麻痺回復のステージ理論:③ Intracortical Excitability(2nd stage recovery)
こんばんは。
前回から運動麻痺回復のステージ理論について解説してます。
サクッと読める記事を心掛けていますが、前回は少し熱が入りすぎてしまいましたので、改めてシンプルを心掛けていく所存でございます。
ということで今日は運動麻痺回復のステージ理論の Intracortical Excitability(2nd stage recovery) についてです(図1)。
図1 運動麻痺回復のステージ理論(原寛美, 2013より一部改変)
まずは、Intracortical Excitabilityとは何かを知る必要があります。
Intracortical Excitabilityとは…
- Short-Interval Intracortical Inhibition(SICI)
- Intracortical Facilitation(ICF)
- Long-Interval Intracortical Inhibition(LICI)
のことです!
(と言われて理解できる方は経頭蓋磁気刺激の理解がある程度ある方かと思います。)
SICIについては実は以前、ブログで紹介していますので詳細は割愛しますが(一番下に過去の記事を貼り付けておきます)、2連発刺激法という方法で大脳皮質の抑制を調べる指標になります。ICFは皮質内の興奮性を調べる方法と思っていただければと思います。LICIはSICIと同じ皮質の抑制を調べる指標ですが、SICIとは似て非なるものです。ここでは、抑制を調べるものかと思っていただければよいかと思います。(そのうちに、これらの指標がどのようにして得ることができるのかについて記事にしようと思います)
そしてこれらの指標を急性期・3ヶ月後・6ヶ月後で調べ、パフォーマンステストとの相関を見た結果が図2と図3になります。
図2 Intracortical Excitabilityの結果
ここの結果で注目すべきは抑制系(SICI/LICI)では損傷半球との差があり、促通系(ICF)では有意差を認めないという結果になっており、損傷半球の脱抑制(抑制が弱い)があることがわかります。
図3 Intracortical Excitabilityとパフォーマンステストとの相関
そしてパフォーマンステストとの相関では急性期において相関はなく(LICIを除く)、3ヶ月の時点で相関する傾向があることがわかるかと思います。
この結果と先行研究の報告から著者は「3ヶ月時点では脱抑制が生じており、他の損傷していない近接・遠隔領域との接続を行いう時期」と考察しています(新たなネットワークの再構築と呼ばたりもする)。
このように、TMSを使って発症から3ヶ月時点の皮質の状態を観察し、考えられたものが2nd Recovery Stageです。
ということで今日はここまで。
次回は、いよいよ最後の3rd stage について解説していきます。
Reference
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