サクッと紹介! 運動麻痺回復のステージ理論:② Corticospinal Excitability(1st stage recovery)
こんばんは。
前回から運動麻痺回復のステージ理論を紹介しております。
今回はCorticospinal Excitability(1st stage recovery) についてです。
ちなみに運動麻痺回復のステージ理論はSwayne OBら(2008)によって提唱された運動麻痺の回復において時期によって改善のメカニズムがことなりますよーという理論になります。
今回は急性期の段階で起こるCorticospinal Excitability について解説したいと思います(下図)。
図1 運動麻痺回復のステージ理論(原寛美, 2013より一部改変)
Question:Corticospinal Excitabilityとは何か?
Answer:
運動閾値(MT)とは経頭蓋磁気刺激法で一次運動野を刺激した際に標的筋から得られる筋電図波形である運動誘発電位(MEP)が誘発される強度のことです。経頭蓋磁気刺激法では「どのくらいの強度で刺激するのか」によって得られるMEPの出現頻度や大きさが変化します。
例えば、50%の強度でMEPが誘発される被験者がいるとします。その後、何らかの影響で大脳皮質が興奮状態(すなわち運動閾値が低い状態)に鳴った場合、同じ50%でもMEPは誘発されやすさなど(頻度や振幅)は変化します。逆に大脳皮質が抑制状態(すなわち運動閾値が高い)であれば刺激強度が前者と同じであってもMEPは誘発されないかもしれません。
そして、安静時と収縮時で分けている理由は、筋収縮の状態によってMEPの結果が異なってしまうからです。
最後に、RCsというのは様々な刺激強度で大脳皮質に刺激を行い、刺激強度によってMEPの大きさがどのように影響を受けるかというものを調べるものであり、こちらもCorticospinal Excitabilityを評価する一つの指標として用いられています。
これらの指標の結果が図2の結果になります。
図2 Corticospinal Excitabiityの結果
損傷半球の運動閾値は安静時・収縮時ともに高い結果であり、RCsは逆に低い結果となっております。
さらにパフォーマンスとの関連を示したのが図3になります。
急性期ではARATとの相関があることを示しております。急性期ではパフォーマンスと皮質脊髄路の興奮性に相関関係があり、3ヶ月後・6ヶ月後ではより弱い相関にとどまったという点から急性期では皮質脊髄路の興奮性が重要であると考察しています。
ということで今日はここまで!
今回は少し気合が入ってしまい、自分も若干疲弊してしまいました(笑)
細かく説明しようとすると一日かけても足りない気がしています。次回はもう少し、サクッと行きたいと思います。
次回はIntracortical Excitabilityについてです。
よろしくおねがいします。
Reference