予測的姿勢制御と補足運動野:②
こんにちは。
T-memoです。
今日は引き続き予測的姿勢制御と補足運動野に関する文献について紹介したいと思います。Takakusakiの作業仮説では動物実験を中心に紹介されていましたが、僕が紹介する記事はヒトを対象とした基礎実験になります。Takakusakiらの作業仮説に関しては過去の記事を御覧ください。
ちなみに今回は日本語の論文を紹介します。こちらは皆さん読みやすいと思いますので是非、Referenceから一読してみてください。前回はYoshida Sらの脳波を使った研究からAPAと補足運動野の関係について考えてみました。今回もAPAと補足運動野について触れている吉田らの文献を紹介していきます。
今回は経頭蓋直流電流陰極刺激を使った研究です。
ちなみに経頭蓋直流電流刺激(Transcranial Direct Current Stimulation:tDCS)についてはみなさんご存知ですか?tDCSをサクッと説明しますと、頭に電極を貼り付けて微弱な電流を流すことで大脳皮質を促通したり、抑制したりすることができる装置になります。陰極刺激は大脳皮質は抑制し、陽極刺激は促通状態にすることを可能にします。
吉田ら, 2013は健常者を対象に補足運動野(SMA)へ経頭蓋直流電流陰極刺激を行い、前・直後・15分後に上肢を挙上する課題を行い、APAを測定しました。この研究のアウトカムは筋電図から得たAPA時間である⊿EMG onset(三角筋・大腿二頭筋の筋活動開始の差)と上肢の加速度・重心動揺となっています。
結果は概要図を上記に示しました。⊿EMG onsetがtDCS直後・15分後がtDCSを行う前に比べて優位に短縮したと報告されています。また、他のアウトカムに関しては有意差がなかったとのことです。考察ではSMAー視床下核ー大脳基底核ループから考察を行い、先行研究と同様の結果であることを述べています。
高草木先生の作業仮説で述べられていた動物実験の結果と同じ結果であったという点では非常に重要な研究かと思います。動物実験とヒトではぜんぜん違う結果もありえますからね。
ということで今日はここまで!
次回は陽極刺激の結果をお伝えします!
逆の現象が起こると思いますか?それとも効果はないと考えますか?
それではまた来週!
Reference