田舎の理学療法士

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心臓リハビリテーション指導士試験の予想問題⑩:「二次予防と食事療法」編

どうも。

田舎のPT、イナピーです。

今回は心リハ指導士の予想問題第10弾です。

 

本日の内容は「二次予防と食事療法」について。

 

答えは、一番下に書いてありますのでご参照ください。

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1.次の選択肢のうち、正しいものを2つ選べ:

a.果物は果糖(単糖類)が多く、食べ過ぎると尿酸値を上げる可能性がある

b.脂質の呼吸商は0.7である

c.GIの高い食品の摂取は糖尿病発症リスクを増加するとして、統一した見解が

 なされている

d.糖尿病患者における食物繊維の摂取量について、目標量は20g/日以上である

e.ブドウ糖は多糖類に分類される

 

2.虚血性心疾患患者の食事療法において、正しいものを2つ選べ:

a.飽和脂肪酸の摂取量はできるだけ多い方が良い

b.二次予防を目的にHDLコレステロールは40mg/dl以上に増やすことが推奨される

c.リノール酸などのn-3系脂肪酸の摂取は推奨される

d.果物の摂取はVLDLの減少につながる

e.二次予防を目的に中性脂肪を150mg/dl未満に抑えることが推奨される

 

3.次の組み合わせで適切なものを2つ選べ:

a.n6系不飽和脂肪酸 - クルミ

b.n3系不飽和脂肪酸 - リノール酸

c.1価不飽和脂肪酸 - オレイン酸

d.α-リノレン酸 - ひまわり油

e.EPA - 青魚

 

4.次の説明のうち適切なものを2つ選べ:

a.LDLコレステロール管理の目的でαリノレン酸を多く含むクルミの摂取は推奨される

b.拮抗作用を避けるためにもMgはCaの半分量が推奨される

c.血糖値の上昇が緩やかな二糖類の摂取は推奨され、玄米や芋類がこれに当たる

d.カリウム摂取量を抑えるために、野菜は水で洗い流せば良い

e.虚血性心疾患患者の減塩指導の目安として、ナトリウムは6g未満に抑えることが

 推奨される

 

5.次の文を読んで、誤ったものを2つ選べ:

「運動習慣はなく、大工仕事を生業とする男性の身長は170cm, 体重は80kgである。」

a.標準体重は64kgである

b.エネルギー摂取量の目安は1,900kcalである

c.エネルギー摂取量の目安は2,200kcalである

d.身体活動量は25〜30kcal/kg程度と推測される

e.身体活動量は30〜35kcal/kg程度と推測される

 

6. 次の文を読んで、正しいものを2つ選べ:

「運動習慣のない、主婦である女性の身長は150cm, 体重は60kgである。」

a.1日の糖質の摂取量の目安はおよそ186~224gである

b.1日の糖質の摂取量の目安はおよそ155〜186gである

c.1日の脂質の摂取量の目安はおよそ62〜93gである

d.1日の脂質の摂取量の目安はおよそ21〜33gである

e.1日のタンパク質の摂取量の目安はおよそ47〜74gである

 

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[二次予防と食事療法]のポイント

 

糖尿病患者の食事指導

・糖尿病の食物繊維摂取は推奨される。目標量は20g/日

 →LDLコレステロールの減少に寄与する。

・糖尿病のGI値による管理:推奨されるほどエビデンスが蓄積されていない

 

IHD発症後の二次予防目的の指導

LDL-C<100mg/dL(一次予防では<140mg/dLとされている)

 →n-3系(αリノレン酸EPA, DHA)や

  n-6系リノール酸、植物性油)など不飽和脂肪酸の摂取が推奨される

 LDL-C以外には、HDL-C>40mg/dL, TG<150mg/dLが管理目標とされている

・ω3系 - 海洋性:EPA, DHA【青魚】

     植物性:α-リノレン酸【アマニ油、エゴマ油、くるみなど 】

 ω6系 - リノール酸・アラキドン酸【大豆、コーン、べに花油、ひまわり油など】

 1価不飽和脂肪酸 - オレイン酸 【オリーブ、べに花油、ナッツ類】 

 

品目ごとの知識

・豚肉に多く含有される栄養:ビタミンB1が他の肉と比べ最も含有量が多い。

 

・野菜のビタミンK摂取量を避ける方法:

 水洗いして茹でるのはOK

 電子レンジではNG

 

・炭水化物の定義(糖と食物繊維):糖質は単糖類、二糖類、多糖類に分類。

 単糖類:ブドウ糖、果糖

 二糖類:砂糖、乳糖、麦芽糖

 多糖類玄米、雑穀、全粒パン、甘みの少ないシリアル、デンプンを含む芋類、豆類

 *多糖類は消化に時間がかかり、血糖値の上昇が緩やか◎ よって摂取する事が推奨されている

 *果物は果糖(単糖類)が多く、食べ過ぎるとTG値や尿酸値を上げる

 

中性脂肪減少のための指導:

 アルコールやVLDLを増加させる果糖の制限

 ω3系不飽和脂肪酸を含む青魚などの摂取量増加

 

・食塩相当(g)=Na × 2.54

 塩分6gとNa6gを間違えないよう注意!

 

・Mgの必要性:Mg不足すると不整脈リスク上昇⬆︎ 300gの摂取を推奨

 *カルシウム(Ca)と拮抗作用があり、Caの半分量が推奨

 

身体活動レベルとエネルギー摂取量の計算

・呼吸商:糖質=1.0、脂質=0.8、タンパク質=0.7

・標準体重とエネルギー計算:

 身長の2乗(m2)×BMI22(kg/m2)=標準体重(kg) → ①

 ①×日常の活動量(kcal) → ②

 活動量;軽Ⅰ(デスクワーク、主婦):25-30kcal

     中等度Ⅱ(サラリーマンなど立ち仕事が多い):30-35kcal

     やや重いⅢ(大工など力仕事):35-40kcal

     重いⅣ:40kcal → ③

 →②×③=標準体重あたりのエネルギー摂取量 ー ④

・標準エネルギー摂取量と栄養素ごとの摂取量計算

 1gあたりのkcal:糖質=4kcal/g

         脂質=4kcal/g

         タンパク質=9kcal/g ー ⑤

 ④×⑤=栄養素ごとの標準摂取量

 

*問題5における回答

・標準体重:1.7×1.7×22=63.6kg

身体活動量:大工仕事は35~40kcal

・目標エネルギー摂取量:63.6×35~40=2226~2544kcal

 

*問題6における回答

・標準体重:1.5×1.5×22=49.5kg

身体活動量:主婦は25~30kcal

・目標エネルギー摂取量:49.5×(25~30)=1238~1485kcal

・糖質の目標摂取量:(1238~1485)×0.6=743~891

 上記右辺を4kcalで除して→186~223g/日

・脂質の目標摂取量:(1238~1485)×(0.2~0.25)=248~371

 上記右辺を9kcalで除して→28~41g/日

・タンパク質の目標摂取量:(1238~1485)×(0.15~0.2)=186~297kcal

 上記右辺を4kcalで除して→47~74g/日

 

[答え]

a,d/ b,e/ c,e/ a,b/ b,d/ a,e

 

[参考文献]

 日本心臓リハビリテーション学会編.心臓リハビリテーション必携.コンパス(株), 2014年, 第4版, ISBN978-4-99058310-1 C3047

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今日はここまで。

 

ここまでお付き合いくださりありがとうございます。

いよいよ次でシリーズ最後ですので、次回もよろしくお願いいたします。

ではでは!