田舎の理学療法士

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心臓リハビリテーション指導士試験の予想問題11:「身体活動許容条件・復職・行動科学」編

どうも。

田舎のPT、イナピーです。

今回でようやく最後、心リハ指導士の予想問題第11弾です。

 

本日の内容は「身体活動許容条件・復職・行動科学」について。

 

答えは、一番下に書いてありますのでご参照ください。

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1.中等度リスクに該当する急性心筋梗塞後患者において、許容される活動内容

として適切なものを2つ選べ。ただし、症候限界性運動負荷試験にて6METsでST低下を認めずに下肢疲労にて中断となった症例とする。:

a.パイロットへの復帰

b.公的機関のバスの運転手への復帰

c.5METs以下のレクリエーションレベルのスポーツ

d.発症から3週間以降、自動車を運転した

e.発症から2ヶ月以降、症状も安定しているため海外旅行へ行くために飛行機へ搭乗した

 

2.高度リスクに該当する運動耐容能5METsの急性心筋梗塞患者において、許容される活動内容として適切なものを2つ選べ。ただし、発症時に心停止があり初回ICD植え込み術を施行した症例とする:

a.発症から3ヶ月以降、症状も安定しているため自動車を運転した

b.症状がなければリード交換後であってもすぐに運転は許可される

c.抗頻拍ペーシングでICD作動があった場合、作動から3ヶ月間の期間は運転制限が設けられる

d.フリスビー(競技)

e.ゴルフ(打ちっ放し)

 

3.次の説明のうち、誤ったものを2つ選べ:

a.開胸術後、3ヶ月未満でも主治医から英文の情報提供書を書いてもらえば飛行機に搭乗できる

b.ICD植え込み後、磁気浮上式のリニアモーターカーへの乗車は禁忌とされている

c.開胸術後、3ヶ月以上経過していればゴルフなど体をひねる運動は許可される

d.CRT植え込み術後、低温サウナ(60℃)は許可される

e.ペースメーカー植え込みから6週間以上経過していれば、リード線の固定が安定するため上肢を大きく動かす動作は許可される。

 

4.次の選択肢のうち誤ったものを2つ選べ:

a.日本人では、タイプDの人は虚血性心疾患のリスクが高い

b.タイプDの症例への治療的介入は、classⅠのエビデンスが確立されている

c.POMSは、気分や感情を評価する質問紙票である

d.ストレス免疫法は、認知行動療法の技法の一つではない

e.不安管理訓練は、認知行動療法の技法の一つである

 

5.次の選択肢のうち、不安を評価するものとして正しい質問紙票を2つ選べ:

a.POMS

b.STAI

c.CES-D

d.HADS

e.SDS

 

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[身体活動許容条件、復職、行動科学]のポイント

急性心筋梗塞患者の身体活動許容条件

・スポーツ参加の原則:

 持久的な有酸素運動で大筋群を使うリズミカルな動的運動を選択

 競技性のある運動強度、等尺性の無酸素運動を避ける

 

・MI後労働と運動許容:

 リスク別に許容範囲が異なり、いずれか該当すればそのレベルの重症度分類となる。

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・海外旅行:

 発症から6週経過していて、不整脈や合併症などが安定していれば搭乗OK

 主治医より英文の情報提供書を書いてもらう

 

開胸術後、デバイス植え込み患者の身体活動許容条件

・開胸術後の①海外旅行 ②自動車運転 ③肉体作業:

 ①〜③術後3ヶ月は禁止 

 ①は英文の情報提供書を書く必要がある

 ③は胸骨への負荷を考慮して3ヶ月間は上肢への過負荷となる労作、1kg以上のものを持たない

 

・デバイス植え込み後の自動車運転:

 CRT-Pを含むペースメーカー植え込み後は原則許可。

 植え込み後の意識消失やペーシングの不具合がなければ診断書も不要。

 対して、ICD、CRT-Dに関しては以下の通り、制限が設けられている。

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 →半年ごとの診断書を要する

 

・デバイス植え込み後の運動制限:

 ペースメーカー患者は、器質的心疾患がなければ身体活動の制限(−) 

 ICD患者は、植え込み後も致死的不整脈を誘発する身体活動の制限(+)

 CRT患者は、慢性心不全ガイドラインに従う

 入浴は41℃、鎖骨下までの半座位浴で10分程度が良い

 低温サウナ(60℃:和温療法)も可

 

心疾患の行動科学と心理的介入・評価

・評価:

 POMS:気分や感情を評価する

 不安:STAI, HADSを用いる

 抑うつSDS, CES-D, PHQ-9, BDI-Ⅱ, HAM-D, HADS

 

・タイプD:虚血性心疾患発症のリスク因子となる

①ネガティブ感情の自覚が高い      

②対人関係において不安で寡黙な傾向を持つ

 

認知行動療法の主な技法:主に6つ。

 「思考中断法」「知療法」「理性感情行動療法」

 「認知再構成療法」「不安管理訓練」「ストレス免疫療法」

 *ゴロ合わせ:至高の中は、理性感情認知し、不安感ストレスに免疫がある。

 

[答え]

d,e/ c,e/ a,b/ b.d/ b,d

 

[参考文献]

 日本心臓リハビリテーション学会編.心臓リハビリテーション必携.コンパス(株), 2014年, 第4版, ISBN978-4-99058310-1 C3047

ICD・CRT-D植込み後の自動車の運転制限に関して – 日本不整脈心電学会

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今日はここまで。

 

ようやく予想問題シリーズ完結です。

あとは各ガイドラインに目を通して、普段の自分の頑張りを信じて

試験に臨むだけですね。

一緒に合格しましょう。

ではでは!