田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

CPXから考える運動処方:①Light to Moderate-intensity Exercise

どうも。

田舎のPT、イナピーです。

 

 今日は、心肺運動負荷試験からわかる、運動処方における強度ごとの生理学的特徴

を、以下のドメインごとに4回に分けて紹介します。 

 

「light-moderate(軽度〜中等度)」

「moderate-high」

「high-severe」

「severe-extreme」

 

 本日の主役は、「light - moderate」 の強度についてです。

心疾患患者に対する有酸素運動は、従来より長時間実施できるよう定常負荷の

modalityが用いられてきました。

 ここでは、定常負荷運動に対するエネルギー代謝やガス交換の反応は運動強度によっ

て異なる、という特徴に焦点を当てて話を進めます。

 

light-moderate(軽度〜中等度) :

 1st VT(無気的代謝;AT)未満の負荷で、VO2の定常が得られる

 すべての負荷を含む

 

 この強度での定常運動では、血中のpHはほとんど傾かず、血中の乳酸は安静時の値か

らほとんど上昇しません(およそ1-2mmol/L)。

 このドメインでは、酸素摂取量(VO2)と換気の状態は運動を開始してから比較的早

期に定常状態が得られます(これを分かりやすく説明してくれているのが1段階負荷試験)。

 

 定常状態が得られるということは、

有気的代謝以下のレベルの運動である

と言い換えることも出来ます。

 

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 高齢者や長期の不活動、慢性疾患を持っている方では、この反応が遅延すると言われ

ています。

 反対に、普段から運動習慣があって鍛練してる人ではこの定常状態は3分以内に得ら

れます。

 

 この早期に得られる生理学的な定常状態は、エネルギー回路に対する非酸化的代謝

寄与をエネルギー回路のみに制限し、エネルギー枯渇を防いでくれたり(例えば、ホスフ

クレアチン(CrP)、グリコーゲン)、活動筋の疲労関連代謝(無機リン酸塩)の蓄積を制限

する効果を示しています。

 

 上記の理由から、このドメインにおける運動時の生理的応答が定常状態にある場合、

理論的にはエネルギー枯渇がほとんどの場合生じないので、軽度の疲労でおよそ

30-40分以上は運動が継続できると言われています。

 

今日はここまで。

次回はmoderate-high intensity exerciseのお話になります。

ではでは。

 

【参考文献】