田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

心臓リハビリテーション指導士の予想問題④:心肺運動負荷試験(CPX)編

 どうも。

田舎のPT、イナピーです。

 

試験が近づくと焦りますよね、でも基本を押さえておけばきっと大丈夫。。。

な、はず。。。

 

本日の内容は、「心肺運動負荷試験(CPX)について。

答えは、一番下に書いてありますのでご参照ください。

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -  

1.AT pointを算出する上で正しい組み合わせを2つ選べ:

a.ガス交換比(R) - 酸素摂取量(VO2)

b.仕事率(WR) - 二酸化炭素排出量(VCO2)

c.終末呼気酸素分圧(ETO2) -終末呼気二酸化炭素分圧(ETCO2)

d.分時換気量(VE) - VCO2

e.VO2 - VCO2

 

2.AT pointを算出する上で誤った組み合わせを2つ選べ:

a.ETO2 - VE/VO2

b.VE/VCO2 - VE/VO2

c.VE/VCO2 - ETO2

d.V-slope法 - VE/VO2

e .ETCO2 - R

 

3.RC pointを算出する上で正しい組み合わせを2つ選べ:

a.VE/VCO2 - VE/VO2

b.VE/VCO2 - R

c.VE/VO2 - R

d.VCO2 - ETCO2

e.ETO2 - ETCO2

 

4.重症心不全例で特徴的な異常値を示す指標として正しいものを2つ選べ:

a.VE/VCO2 slope

b.ΔVO2/ΔWR

c.V-slope

d.ΔVO2/ΔHR

e .ETCO2

 

5.心筋梗塞発症後PCIを施行した60歳男性。身長166cm, 体重は60kg。自転車エルゴメーターにてCPX(protocol:10-10Watt)を施行したところ、AT-HRは102bpm、AT point METsは5.2METs,  AT1分前の強度は5METsであった。この結果から運動処方し、処方した負荷での有酸素運動を30分行った時のエネルギー消費量および、その時の負荷と同等の活動内容の組み合わせで正しいものを2つ選べ。(O2:1Lあたり、4.85kcalとする):

a.153kcal

b.159kcal

c.レクリエーションレベルの水泳(平泳ぎ)

d.平地での速歩(5.6km/h)

e .平地での速歩(6.4km/h)

 

6.心筋梗塞発症後にPCIを施行した70歳男性。身長154cm, 体重は70kg。

自転車エルゴメーターにてCPX(protocol:0-10Watt)を施行したところ、AT point -1min loadは40Watt(3.2METs), AT-HRは110bpm, AT-METsは3.5METsであった。この結果から運動処方し、処方した負荷での有酸素運動を45分間行った時のエネルギー消費量およびその時の負荷と同等の活動内容の組み合わせで正しいものを2つ選べ。(O2:1Lあたり、4.85kcalとする):

a.171kcal

b.187kcal

c.平地での速歩(5.6km/h)

d.乗馬

e .掃除機での掃除

 

7.心不全患者に対して心肺運動負荷試験(CPX)を実施し、次のデータを得た。

正しい説明のものを2つ選べ:

a.AよりCが重症で、BよりDが重症である

b.AよりCが重症で、DよりBが重症である

c.グラフA・Cより、AT pointが算出できる

d.グラフB・Dより、AT pontが算出できる

e .グラフA・Cにおいて、傾きが小さいほど重症とされている

pastedGraphic.png

 

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -  

[心肺運動負荷試験(CPX)のポイント]

●AT決定のcriteria:

 V-slope法=VO2に対するVCO2の上昇点

 ガス交換比(R)の運動強度に対する上昇点

 ETCO2は変わらずETO2が上昇

 VE/VCO2は変わらずにVE/VO2が上昇

 

●RC pointのcriteria:

 VE/VCO2は上昇に転じ、VE/VO2が更に上昇する

 ETCO2は下降し、ETO2は急峻に上昇する

 VE/VCO2 slopeの傾きが急峻に上昇する

 

⇨このクライテリアについては、VE, VCO2, VO2がどの点でどう変化するかが理解できていると解きやすくなる(下図参照)。

f:id:t-memo:20190612195426p:plain

 

●重症心不全における特徴的な指標

 ①VE / VCO2 slopeの傾きは急峻(>34)となる

 ②ΔVO2/WRは正常値の10-11ml/min/Wattよりも低値となる

*ΔVO2/WRの意義:

⇨1W増加するのにVO2がどれだけ増加するかをランプ負荷で評価し、末梢筋への酸素輸出能を表す。

 中等度強度以上の負荷で変化し、負荷開始から約1分後〜AT付近までのVO2変化を1次回帰して求める。

 心機能不全例や虚血患者ではポンプ機能が低下し、中等度以下の強度でもVO2増加が少なくなる。

 

●CPXのグラフからAT pointを読み取り、運動処方を行う

⇨目標心拍数は、AT pointでの心拍数を選択

⇨運動強度(自転車エルゴメーターのWatt数、METs)はAT pointの1分前を選択

⇨METsから、運動時のエネルギー消費量を回答

”O2 1Lあたり4.85kcal”をもとに計算)

 

*運動強度の目安

 レクリエーションレベルの水泳(平泳ぎ):5.3METs

 乗馬:5.5METs

 掃除機での掃除:3.3METs

 平地での速歩(5.6km/h):4.3METs

 平地での速歩(6.4km/h):5METs

 

[答え]

1.c,e 2.c,e 3.a,e 4.a,b 5.a,e 6.a,e 7.a,d

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -  

 

今日はここまで。

最近のCPXに関する問題は9パネルからの出題が主流となり、運動生理学や運動処方に関する知識を有していないと得点につながらない問題が多いです。

また、METs表をもとにどの種類の運動に当たるかを答えさせる問題もあり、普段の臨床での患者指導においてすぐに活かせる知識を求められています。

 

9パネルは初見だとギョッとするかと思いますが、AT pointやRC pointで何がどう変化するかが理解できていれば問題ないかと思います。

 

エネルギー消費の計算問題は、O2の値からカロリー換算ができないと解けません。

O2 1L=4.85kcal は暗記しておいて損はないでしょう。

 

本日もご覧いただきありがとうございました。

次回もよろしくお願いいたします。