田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

APAには一次運動野は関与する:2 - 1

こんにちは。

 

 

前回のAPAの記事は静的課題と比較して動的課題(すなわちAPA)では姿勢を制御する筋肉の一次運動野の興奮性が増加する論文を紹介しました。

 

t-memo.hatenadiary.jp

 

 

では、APAはどれくらい前(時間的に)から興奮性が増加しているのでしょうか?

 

 

ということで前回と同じChiou SYらによる2018年の報告を紹介します。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

ここでは結果を解釈する際に経頭蓋磁気刺激(TMS)のパラメーターの理解がある程度必要です。今回は運動誘発電位:MEPの結果をお伝えします。(図1)TMSのパラメーターについては過去の記事で簡単に紹介していますので、よければ過去の記事を御覧ください。

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図1 運動誘発電位

 

t-memo.hatenadiary.jp

 

 

 

 

結論から言うと、脊柱起立筋のAPA開始の約30-40ms前(0.03-0.04秒前)に一次運動野の興奮性(MEP振幅)が増加していましたが、腹筋群の一次運動野の興奮性の増加は認めなかったと報告しています。(Chiou SY et al. 2018)

 

これは主動作筋の筋活動が開始する前に一次運動野の興奮性が増加するという先行研究と同様であり、姿勢制御を担う筋肉も一次運動野の興奮性が増加することが示されたと述べています。(Chiou SY et al. 2018)

 

 

では、MEPの増加は脊髄のα運動細胞の興奮性が増加して起こっているのでしょうか?

脊髄のα運動細胞の興奮性が増加していれば、一次運動野の興奮性には変化がなくてもMEPは増加したという結果になってしまいます。この、MEP振幅の増加の起源がどこで起きているのか?ということを次回お伝えしたいと思います。

 

 

ということで今日はここまで! 

お時間いただきありがとうございました。

 

Reference

Chiou SY, et al: Cortical contributions to anticipatory postural adjustments in the trunk. J Physiol.2018, 1; 596(7):1295-1306, 2018.