2019年度心リハ指導士講習会のまとめ④栄養学編
どうも。
田舎のPT、イナピーです。
今日は「栄養学」についてのまとめです。
今年は、心不全と栄養についての内容となっていました。
では、よろしくお願い致します。
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「栄養学」40分 鈴木規雄
・①CVDの一次予防、②心不全病期別の介入、③運動と栄養
①一次予防:カロリーの是正、食塩・糖質・脂質摂取量の是正
・三大栄養素の1gあたりのエネルギー量
糖質/タンパク質4kcal/g、脂質9kcal/g
・栄養バランス:日本人の食事摂取基準(2015年)をもとに管理。
5年ごとに改定される。エネルギー摂取量のモニタリングとしてBMIが用いられる。
18~69歳のBMI:18.5~24.9
70歳のBMI:21.5~24.9
・糖質(炭水化物、食物繊維:男性20g/日、女性18g/日):全体の摂取量の50~65%
食物繊維の摂取量と心筋梗塞の発症率は関連する(サプリメントの摂取は除く)
・脂質:全体の摂取量の20~30%
ほとんどが中性脂肪(TG)として食中に存在
肉・乳製品に多く含まれる、LDLコレステロール(LDL-cho)及びTG増加の因子
LDL-cho低下、HDL-cho増加に作用
・多価不飽和脂肪酸:
ω6系(リノール酸、アラキドン酸):調理油に含まれる。過剰摂取で冠動脈疾患(CAD)リスク増大
ω3系(リノレン酸、EPA, DHA):ω3系を含む魚の摂取でCADリスク減少
★トランス脂肪酸:マーガリン、ショートニングを含むパン、ケーキに多く含有。
HDL-cho減少及びLDL-cho上昇によってCADリスク増大
総エネルギー摂取量の1%未満に抑えること(心不全stageA・Bに共通)
・タンパク質:摂取量目安は0.8g/kg/日
高齢者において必要性が高くなる。
・食塩:男性8g、女性7g未満を推奨(2015年) Na×2.54が食塩相当量
②・③心不全の病気別の介入、運動と栄養
・食塩量:stageA・Bは6g/日未満、至適体重はBMI:18.5〜24.9の維持を目安とする
BMI27以上でCADリスク増大するとの報告もある
・推奨される食生活スタイル:
地中海食:魚、野菜、果物、ワインなど。エキストラバージオイルやナッツの追加がbetter
DASH食:野菜、果物、低脂肪の乳製品などが中心。
・stageC・D:交感神経活性が亢進し、コルチゾール上昇によりたんぱく異化亢進状態に陥る
・窒素バランス:消費エネルギー量が増加し、異化亢進状態に陥り安い。
・TNF-αによるインスリン抵抗性と心臓カヘキシア:
TNF-αはガンや心不全で増加、たんぱく質の同化作用を妨げる。
TNF-αと活動量は逆相関するとの報告もある。
・水分量の制限については明確なエビデンスはない。
・急性心不全:循環動態が機械的にサポートがあって安定していれば、
IABP中でも経腸栄養も可能とされるが、明確なエビデンスはない。
・サルコペニアは加齢と二次性が原因:十分な摂取カロリーに加えたタンパク質摂取
BCAAのうちバリン・ロイシン・イソロイシンが骨格筋維持に重要
(運動直後の摂取が推奨される)
・加齢により筋タンパク合成能が低下、インスリン抵抗性上昇を認める。
よって、タンパク質摂取量の確保は大切。(1.2~1.5g/kg/日)
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出題内容は、主に心不全について、重症度ごとの栄養に関するものが3問ほどありました。
心不全の病態の背景には、異化作用の亢進が認められます。
国内における1施設での調査ではありますが、栄養障害を有する症例が入院期急性心不全患者の2/3にも昇るとの報告もあるそうです。
また、加齢に伴う生理的な筋量減少が心不全患者の骨格筋代謝を更に減少させるために、十分なエネルギー量の摂取に加えてたんぱく質摂取量をどう確保していくか。
今後の急性期における栄養管理の重要性がより一層強調される講習会となっていました。
今日はここまで。
次回は臨床心理学についてのまとめです。
ではでは!