田舎の理学療法士

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心臓リハビリテーション指導士の予想問題⑤:循環器疾患の病態と治療・二次予防編

どうも。

田舎のPT、イナピーです。

 

今回は心リハ指導士の予想問題第5弾です。

本日の内容は循環器疾患の病態と二次予防について。

答えは、一番下に書いてありますのでご参照ください。

 

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1.急性冠症候群の治療選択として誤ったものを2つ選べ:

a.予後、身体活動度の評価目的に急性期より心肺運動負荷試験を実施する

b.体重管理はclassⅠで推奨される

c.左室機能の保たれた心筋梗塞患者に対するβ遮断薬はclass Ⅰ で推奨される

d.冠攣縮を基礎病態とする患者に対するβ遮断薬はclass Ⅰ で推奨される

e.糖尿病を合併する心筋梗塞患者において、HbA1c<7%の管理はclass Ⅰで推奨される

 

2.慢性心不全二次予防の治療選択において、class Ⅰで推奨されるものとして誤ったものを2つ選べ:

a.禁煙および節酒

b.うっ血による自覚症状を呈するHFpEF患者に対する利尿薬の投与

c.頻脈性心房細動を有するHFrEF患者に対するβ遮断薬の投与

d.症状のあるHFrEF患者に対するβ遮断薬の投与

e.高血圧に対する降圧管理

 

3.次の説明のうち、正しい内容を2つ選べ:

a.心筋梗塞発症時の心電図変化のうち、一番初めに出現する変化はST上昇である

b.心筋梗塞発症時の心電図変化のうち、ST上昇は貫壁性の虚血を示す。

c.心筋逸脱酵素の出現順序は、CK→トロポニンT→AST→LDHである

d.心筋梗塞発症後、異常Q波は慢性期へ移行する頃には消失する

e.心筋梗塞発症後、陰性T派は残存する場合がある

 

4.次の説明のうち、誤ったものを2つ選べ:

a.禁煙は5Rを参考に動機付けを行う

b.急性冠症候群および心不全の二次予防において、血糖管理はどちらもclass Ⅰで推奨される

c.急性冠症候群および心不全の二次予防において、禁煙はどちらもclass Ⅰで推奨される

d.急性冠症候群および心不全の二次予防において、節酒はどちらもclass Ⅰで推奨される

e.ブリンクマン指数は、1週間の喫煙本数と喫煙年数の積で表される

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[循環器疾患の病態と治療・二次予防]のポイント

●急性冠症候群の病態、治療・二次予防

⇨急性心筋梗塞(AMI)発症時の、心筋逸脱酵素の出現順序:

 トロポニンT→CK→AST→LDH

⇨AMI発症時の心電図変化:

    ①T波増高→ST上昇・・・6時間以内に変化。

 ③異常Q波・・・2日目 

    ④T波陰転化・・・2週間目

 その後、陰性T波は上向きに戻る場合もあるが、異常Q波は残存する

ACS患者に対するβ遮断薬の投与:

 心不全徴候を呈し、LVEF≦40%に該当する症例に対してはclass Ⅰ

 ただし、心不全徴候がなく、左室機能の保たれた症例に対してはclass Ⅱ 

⇨冠攣縮を病態とする患者に対しては、Ca拮抗薬の投与がclass Ⅰ とされる

⇨急性期からのCPXの実施はclass Ⅰ で推奨される

⇨二次予防の観点から運動療法、禁煙、体重管理はclass Ⅰ とされている

 摂酒に関しては明記されていない

(以上、ACSガイドライン2018年を参照)

 

心不全の病態、治療・二次予防:

⇨HFrEFに対するβ遮断薬の投与:

 有症状の症例の予後改善に対してclass Ⅰ

 頻脈性心房細動や無症状の症例に対してclass Ⅱ

⇨うっ血による自覚症状を呈するHFpEF患者に対する利尿薬の投与:class Ⅰ

 *現在薬物治療でclass Ⅰ とされているのは利尿薬のみ

⇨HFrEFに対する運動療法:class Ⅰ

 運動ベースの心臓リハビリが運動耐容能、再入院率、死亡率、QOLを改善

 ARB, ACE-I, β遮断薬+運動療法は薬剤のみの介入より有意にpeakVO2

 を改善(以上、慢性・急性心不全ガイドライン2018年を参照)

 ⇨慢性心不全禁煙/運動/食事療法/体重管理はclass Ⅰ節酒はclass Ⅱとされる。

 

●禁煙指導:

⇨ブリンクマン指数:1日の喫煙本数と喫煙年数の積

 400以上で肺がんの発症リスク上昇

 600以上で肺がんの発症ハイリスク

 1,200以上で喉頭がんの発症ハイリスク

⇨禁煙はスタチンより予後を良好にする

⇨禁煙の5A・5R:禁煙指導の手順や原則

 ●5A「Ask, Advice, Assess, Assist, Arrange」の指導手順。

 Assessの時点で禁煙の意思がない場合、5Rを参考に動機付けを行う。

 ●5R「Relevance(患者特性との関連情報を提供して励ます)、Risk(健康への影響について説明)、Rewards(効果についての患者の考えを聞いて、最も関連する情報を提供)、Roadblocks(禁煙の妨げとなる要因を訪ね、その対策について助言)、Repetition(来院ごとに禁煙の動機付け)

 

[答え]

1. c,d  2. a,c  3. b,e  4. d,e

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今日はここまで。

なお、過去2年間の出題された内容から各シリーズごとにヤマを張って問題を作成しているので、内容が網羅できていない事があります。何卒ご容赦ください。

 

また見ていただけたら幸いです。

ではでは!