心臓リハビリテーション指導士試験の予想問題⑥:「大血管疾患、心臓外科術後の管理」編
どうも。
田舎のPT、イナピーです。
今回は心リハ指導士の予想問題第6弾です。
本日の内容は「大血管疾患、心臓外科術後の管理」について。
答えは、一番下に書いてありますのでご参照ください。
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1.次の内容のうち、誤りであるものを2つ選べ:
a.大血管疾患術後の患者に対するリハビリテーションはclass1で推奨される
b.下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)は生活習慣病が原因とされており、Fontaine分類Ⅲ度はリハビリ適応となる。
c.急性大動脈解離の患者には、レジスタンストレーニングは禁忌とされる。
d.非破裂腹部大動脈瘤の手術適応となるサイズには男女差がある。
e .ASOを有する患者への禁煙は強く推奨される
2.大血管疾患術後のリハビリ実施許可の基準について、中止基準として誤ったものを2つ選べ:
a.運動前の収縮期血圧が100mmHg以下または160mmHg以上
b.新規の頻脈性心房細動の出現
c.心室性期外収縮の出現
d.離床時の収縮時血圧が20mmHg以上低下する場合
e .CRPの急性増悪期
3.次の内容のうち、正しいものを2つ選べ:
a.大動脈解離術後の急性期管理にある患者の収縮期血圧は安静時130mmHg未満で管理することが推奨される
b.胸部大動脈瘤、腹部大動脈瘤ともに50mm以上では手術適応となる。
c.弁置換術において、機械弁を選択した場合は一生涯ワーファリンを服薬する
d.弁置換術後患者において、機械弁を用いた症例はワーファリンとDOACでは効果に差がなく、ビタミンKの制限がないDOACは第一選択となる。
e.StanfordA偽腔開存型とStanfordB型は標準リハビリコースに従ってリハビリを進める
4.次の内容のうち、正しいものを2つ選べ:
a.急性期の大動脈解離保存例では、収縮期血圧は105-120mmHgでの管理が推奨される
b.偽腔閉塞型でULPを有する例では破裂リスクが低く、短期リハビリコースに組み込まれる
c.胸部大動脈瘤を有する患者では、有酸素運動の処方、術後症例における収縮期血圧130mmHg未満での管理はclass Ⅰで推奨される
d.腹部大動脈瘤を有する患者に対する禁煙、スタチンの投与はclass Ⅰで推奨される
e.大動脈解離術後では、標準コースおよび短期コースともに1日の血圧が130mmHg未満で管理されていることが退院の基準とされている
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[大血管疾患、心臓外科術後の管理]のポイント
●大血管疾患リハビリ進行の中止基準
・TAA:60mm以上、AAA:50mm以上はope適応の基準となる
・最大短径ごとの破裂リスク
・TAAにおける内科治療で立証されているエビデンスにclassⅠでの推奨は確認されていない
・AAAのope適応の性差について、男性>55mm、女性>50mmへの手術適応はclass Ⅰ
で推奨される
・TAAのサイズが40-45mmの患者に比べ、55mm以上での非破裂生存率(予後)は非常に悪い(N Engl J Med 2003; 348: 1895-1901)
●大動脈解離に関連するエビデンス
・保存例の急性期の降圧管理では、105-120mmHgの管理が原則。
一方、慢性期においては安静時<130mmHg、運動時<150mmHgで管理。
・偽腔閉塞型のうち潰瘍様突出像( ULP) を呈する例では、真腔から偽腔への再開通が多く出現し,大動脈径が 40mm 以上の例では,線溶凝固系の異常が遷延したり、破裂リスクが高まったりする。そのため、これらの病態を標準リハビリコースとし、その他の合併症を起こす可能性の低い病態を短期リハビリコースとしている。
●弁膜症に関するエビデンス
・機械弁を用いた例に対する抗凝固療法はワーファリンが第一選択となる。
ダビガトランなどのDOAC使用例では出血リスクが高く、ワーファリンの代替にはならないことが報告されており(Eikelboom JW et al.N Engl J Med 2013;369:1206-14)、現段階ではDOACの優位性は確立されていない。
・抗凝固療法について、ワーファリン投与は機械弁の場合は一生涯続くが、生体弁の場合は心房細動を合併しなければ血栓リスクの高い3ヶ月間のみである。
●末梢閉塞性動脈疾患(PAD)に関するエビデンス
・ASOは動脈硬化などが原因とされており、生活習慣が影響するとされている。
・Fontaine分類のⅡ度以下では心リハ適応となる。Ⅲ度以上はope適応。
・ABIは0.9以下で狭窄や閉塞、1.4以上で動脈の高度石灰化を示す。
参考資料:
・弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン(2012 年改訂版)
・末梢閉塞性動脈疾患の治療ガイドライン(2015 年改訂版)
・心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2012年改訂版)
[答え]
a,b/ c,d/ a,c/ a,e
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