田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

予測的姿勢制御と補足運動野:①

こんにちは。

T-memoです。

 

前回までは高草木先生の作業仮説ではあまり触れられていない、予測的姿勢制御(Anticipatory Postural Adjustment:APA)と一次運動野との関連について文献を紹介しました。

 

今回からはAPAと補足運動野について触れている文献を紹介していきます。

何から紹介しようかと思うところですが、まずは脳波を使ったAPAの文献から紹介していきます。まず、APAと補足運動野の関連がなぜ指摘されているのかについては過去の記事をご参照ください

 

t-memo.hatenadiary.jp

 

 

Yoshida S ら2008年に脳波の運動関連電位を使用して立位と座位で上肢を挙上する課題(すなわちAPA)を行い、大脳の活動状態を調べています。今回の研究で使用した脳波は10-20法の下記の部位です。この部位から得られた運動関連電位を調べたことになります。

 

 

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ちなみに運動関連電位(Motor Related Potentials:MRPs)は運動の準備状態の指標になります。MRPsはさらにReadiness Potential(RP)とMotor Potential(MP)の2つに分類され、前者は両側感覚野と両側補足運動野、後者は対側感覚野と両側運動野由来であると考えられています。

 

 

結果ですが、RPは最もCzで高く、立位では座位よりもRPの振幅が大きい。また、MPでは立位と座位で有意差を認めなかったと報告しています(Yoshida S et al,2008)。

 

 

両側補足運動野の活動を反映すると考えられているRPの活動がCzより高いことから、この結果は補足運動野が主たる生成元であり、きたるべき運動に備えて補足運動野が準備をしている(Yoshida S et al,2008) と彼らは考えているようです。

 

 

これは高草木先生の作業仮説と同じ傾向であり、APAには補足運動野が重要であることを示しているのかもしれませんね。高草木先生のはサルの実験から考察しているので、ヒトでこのような報告がなされた点で非常に重要な知見かと思います。

 

 

今日はここまで!

次回も予測的姿勢制御と補足運動野の文献について紹介します!

よろしくおねがいします

 

 

 

Reference

www.ncbi.nlm.nih.gov