田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

脳卒中患者の体幹機能改善のための運動は効果があるのか!?

こんばんは。T-memoです。

久しぶりの体幹機能に関する記事になります。

 

早速タイトルの件についてお話しましょう。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

Rosa Cabanas-Valde ́sらは脳卒中患者に対して行われた体幹レーニングのRCTを集めました。(1966年〜2012年11月)

*半側空間無視が存在する研究・ロボット・バイオフィードバック・機能的電気刺激に関する論文は除外しています。

 

 

【結論】

 結論から言いますと、亜急性期・慢性期の脳卒中患者に対するTrunk Training Exercises(TTE)は体幹機能の動的座位バランスを改善しますが 、静的な座位バランスに関しては効果がないという結果のようです。 *異質性の指標であるI2は算出できなかったのことです

 

 

静的座位バランスに効果がないのは研究開始時点で座位保持可能な患者が多く含まれていることから今回の結果を説明しています。しかし、有酸素運動と機能的トレーニングにより静的・動的座位バランスに改善を認めたという報告もあり(Marigold et al., 2005; Shin & Demura, 2012).今後も検討が必要のようです。

 

 

また、訓練場面では座面が安定している環境よりも不安定な環境のほうがより体幹機能の動的座位バランスを改善することを示していました。加えて,立位や歩行にも持ち越し効果があることを示しており、不安定な場面のトレーニングが有効である可能性を示唆していますが、まだ論文数が少ないので今後も検討が必要とのことです。

 

私は急性期で働いているので、亜急性期の患者さんにも効果がありそうだという結果は非常に追い風になってくれています。しかし、TTEは非常に時間がかかり(研究によっては1時間程度)、日本で適用するには少々現実的ではないとも思います。今後はこの治療に要する時間を短縮するためのトレーニング方法を開発していく必要があるのかなと個人的には思っています。

 

Reference

Rosa Cabanas-Valde ́s et al.: Trunk training exercises approaches for improving trunk performance and functional sitting balance in patients with stroke: a systematic review. NeuroRehabilitation.2013;33(4):575-92.