田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

CPXから考える運動処方の概念:③High to Severe-intensity Exercise

 どうも。

田舎のPT、イナピーです。

久しぶりの投稿となってしまいましたが、今日は4つのドメインのうち、

高強度以上の負荷に当たる

「High to Severe-Intensity Exercise」について話します。

 

 

・High to Severe intensity exercise:このドメインは、

Critical Point(CP)を超え、VO2の定常状態が得られずに最大負荷へ至るすべての強度を指します。

 

この強度での運動処方は、心臓リハビリに従事している人たちには臨床でお目にかかることのない強度かもしれませんね。

この時のVO2動態の特徴は、VO2 slow component(SC)の影響を受けて

実際の負荷が反映されず、最大値に到達するまで上昇します。

下図を見ると、CPまでのVO2の傾きは定常ですが、

 

CP以降はそのバランスが崩れてpeakVO2に向かって

急峻に増加していくのが分かります。

 

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運動中のエネルギー代謝においてもかなりの負荷がかかるので、ここでの血中の酸塩基平衡(pH)は大きく酸性に傾き、疲労困憊となって運動が終了するまで血中乳酸濃度が上昇し続けます。

運動処方するとしたら、運動中にはVO2の定常状態が得られないので、

インターバル形式での有酸素運動が推奨されます。

 

もし、このドメインでの持久性運動をするなら、3分-20分程の継続しかできないことが予想されます。

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どの強度もCPを超えており、すぐにpHは酸性に傾いて筋疲労により運動を中止することになります。

 

前回の中等度強度での持久的な運動での話では、VO2 slow componentによりVO2の

上昇は遅延し、予測していたVO2の値に至る頃には相当以上の負荷がかかってしまう話があったと思いますが、今回はとりわけその傾向が強く、%peakVO2を用いた運動処方は困難です。

 

今日もありがとうございました。

ではでは。

 

【参考文献】

www.ncbi.nlm.nih.gov