CPXから考える運動処方:② Moderate to High-intensity Exercise
どうも。
田舎のPT、イナピーです。
本日は、
4つのドメインのうち、中等度〜高強度の負荷に当たる
「Moderate to High-Intensity Exercise」について話します。
このドメインは、
1st Ventilatory Threshold(1st VT)~Critical Point(CP)の間に当たる仕事率(WR)
を指します。
CPはいわゆる”臨界点”のことです。
VO2と乳酸の両方が定常状態のままで居られるWRの最大値で、
長時間の有酸素運動を続ける上限を示す指標とされています。
ここでのポイントは2つ。
①CPXにおける60-70%peak WRや70-80%peak HRとほぼ同等の強度
②定常負荷での運動中には、想定していた相対負荷よりも高いレベルでの定常状態となる
まず、ポイント1つ目に関しては記載した通りです。
運動処方時の強度設定の目安となります。
続いて、ポイントの2つ目に関しては、VO2の”slow component”の出現が原因とされています。
このドメインの強度での運動開始から約2-3分後に見られる特徴的なVO2動態力学で、定常負荷中の運動でしか検出されません。
そして、定常負荷運動から得られるVO2とHRの定常状態は、下図のCWR exの値の通り、1st VT以前のVO2とWRの関係から予測される値よりも高いレベルに到達します。
運動時の酸素消費量が増加することで、moderate-high intensity ドメインにおける運動は以前紹介したlight-moderateドメインほどは長い時間運動を持続できません。
ですが、このドメインでの30分間の持久運動であっても、慢性心不全のように運動耐容能の低下した患者で実施することは理論上は可能とされます。
もちろん臨床場面で考えると、急性期管理を要するような不安定な症状を呈する慢性心不全患者に対しては適応を考慮する必要があると思います。
今日はここまで。
ではでは。
【参考文献】