peakVO2は心不全患者の予後を反映する代替エンドポイントにならない?
どうも。
田舎のPT、イナピーです。
今日は、最高酸素摂取量(peakVO2)に関連して目を引いた文献を紹介します。
題名でギョッとしますけど、
peakVO2は心不全患者の予後の代替エンドポイントにはならないかもしれない
という内容です。
一般に、peakVO2は運動耐容能の直接的な評価としてgold standardと位置付けられるアウトカムです。
疫学研究においても、心疾患患者(虚血性心疾患、うっ血性心不全)のpeakVO2は
3.5ml/kg/min(=1METs)改善するごとに死亡率が12%改善する
ことが報告されています。
【引用文献】
しかし、peakVO2が死亡率や入院率、健康関連QOL(HRQOL)などのエンドポイントの代替指標となるかどうか、その妥当性については検討されてきませんでした。
そこで、この研究では左室機能の低下した心不全患者(HFrEF)を対象に、32件のRCTをメタ解析して明らかにしようとした報告になります。
結論からいうと、
代替エンドポイントとしてのpeakVO2(5ml/kg/minの改善)は、死亡率や入院率においては非常にpoorな相関を示しており、健康関連QOL(HRQOL)において中等度の相関を認めました。
ちなみに、peakVO2における5ml/kg/minの変化って、結構大きな変化です。
慢性心不全患者に対して大規模な多施設ランダム化比較試験(RCT)を実施したHF-ACTIONでは、死亡率を減少したとされる閾値は、
peakVO2:6%の改善(〜1ml/kg/min)でした。
それだけ運動耐容能が改善しないと患者さんのQOLも改善しないのかと、少しめまいしそうです。
しかし、この報告の目的は妥当性を検討する名目でしたが、相関しか調査しておらず、どのような誤差が生じたか、までは調べられていません。
ですので、この結果をそのまま解釈するには正確ではないかもしれません。
この文献を読むまでは、あまり代替エンドポイントについての概念は自分の頭の中にはありませんでした。
これからは臨床や研究で用いるアウトカムの重要性について、エンドポイントと絡めて意味付けしていく必要性を考えさせられる良い機会となりました。
今日はここまで。
本日も読んで頂きありがとうございました。
ではでは。