田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

第1弾「運動処方と自覚的疲労感について」

どうも。

田舎のPT、イナピーです。

だいぶ寒くなってきて、更新もスローペースになってきてしまいました。

今日は、運動処方における自覚的疲労感(RPE)の有用性についてお話ししようと思います。

 

RPEは、6-20で表す自覚的疲労感を表現するborg scaleや、10段階の修正borg scaleが有名かと思います。

心臓リハビリ領域では、前者のborg scaleが多く使用されている印象があります。

もちろん、患者さんの主観的な評価なので、個人間でのばらつきは大きいとの報告もありますが、borg scale 13はAT pointと一致するとの報告もあります。

では、このRPEを用いた運動処方には、一体どれだけの正確性が確認されているのでしょうか。

 

 

P:運動プログラムに参加したことのないLVEF<40%の心不全患者64名において

I:borg scale11-13を目安にトレッドミル歩行および水中歩行を30分間実施した時の心拍数は

C:CPXから得られたAT point HRと比べて

O:それぞれ114%, 111%と高い負荷となる事が示唆された

 

 

この結果から、borg scaleを用いた運動処方ではAT HRを10%ほど超えた負荷となる事が報告されています。

この対象者の運動歴まではわかりませんが、全例にβブロッカーが処方されていますので、心拍応答が抑制されている状態で予測よりも大きな負荷がかかるという事が予想されます。

さらに、CPXから得られるpeak HRとの比較も見ており、トレッドミルでは最大負荷の85%、水中歩行では79%もの負荷がかかっている事となります。

 

という事は、低心機能な心不全患者の運動処方においては、安全性を担保するためには自覚的な疲労感のみに頼るのではなく、客観的な指標(心拍数など)と併用したモニタリングの指導が必要となる事が推奨されるでしょう。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

 

今日はここまで。

本日も最後まで読んで頂いてありがとうございます。

次回は、修正borg scaleについての報告もご紹介しようかと思います。

ではでは。