田舎の理学療法士

田舎の急性期大学病院勤務PT&大学院生PTのメモ用ブログ(2人で運営してます)

6分間歩行試験(6MWT, 6MWD)について

どうも。

田舎のPT、イナピーです。27歳です。

歳が近かったらどうかこの先の記事も読んでください。

今日は、歩行のパフォーマンス能力や運動耐容能評価の一つとして臨床で簡便に活用される、6分間歩行試験(six minutes walking test:6MWT)についてお話しします。

 

 

 6MWT については数多くの報告がなされており、呼吸器疾患や循環器疾患と関わる機会の多い臨床家であれば、使用した事のある方が多いのではないでしょうか。

患者自身のペースで歩き、途中で休憩を自由に取れる6MWTは、他の歩行検査よりもADL能力をより強く反映し、呼吸器疾患や循環器疾患患、がん患者など、広く適用される検査法の一つとされています。

6MWTは最大下まで負荷をかけるのは困難ですが、何よりもお金をかけずに簡便に実施出来るのが最大の利点で、ストップウォッチと片道25mの通路があればいつでもどこでも出来てしまいます。

 

6MWTの詳細については、American Thoracic Societyのステートメントをご参照下さい。

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

 

また、臨床的に意義のある最小変化量(MCID)も報告されており、より使いやすい評価となってます。痒い所に手が届くとはまさにこの事。。。

 

冠動脈疾患:25m

慢性心不全患者:32m

慢性肺疾患:30m

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

6MWTは、患者自身のペースで行う歩行検査ですが、同じ条件下でできるだけ早く歩いてもらう検査もあり、それは6分間歩行距離(six-minutes walking distance:6MWD)といいます。

6MWDは、心肺系、中枢および末梢の循環、あるいは神経骨格筋系などを包括的に評価する、いわゆる心肺運動負荷試験の一つとして上のステートメントでも触れられています。

 

この2つの評価は、それぞれ特徴が異なるので、使用する上では何を明らかにしたくてその評価を選択しているのかを意識しなければなりません。

近くのものを見たいのに双眼鏡を使う人なんていませんし、遠くのものを見るのに虫眼鏡を覗く人がいたら、滑稽ですよね。

道具にはそれぞれ適材適所というものがあります。

 

例えば、その人の生活の自立度がどれだけ改善したかな、といった点を評価したいなら、ADLと強い相関を認める6MWTを選択するべきです。

一方、介入によってどれだけ体力がついたか、生活の質にまでちゃんと効果が波及しているか、を見たい時には、運動耐容能としてのpeakVO2やQOLと高い相関を認める6MWDを選択するのがよりbetterかと思います。

評価って、考える程に難しく、興味深い行為ですよね。

 

 

 今日はここまで。

いつも最後まで読んで下さってありがとうございます。

また次回もよろしくお願いします。

ではでは。